モルモット
枯草の匂いに焦がれているの だってここはガス臭くて 土の上に 桜んぼが落っこちて ルルル 大きな靴に 踏まれてしまった やさしく 撫でてあげようか それとも 土の中に埋めてみようか あたしモルモット あなたの不幸をエサにして 今日を生きている 喉につまって鼻歌 風の中で...
枯草の匂いに焦がれているの だってここはガス臭くて 土の上に 桜んぼが落っこちて ルルル 大きな靴に 踏まれてしまった やさしく 撫でてあげようか それとも 土の中に埋めてみようか あたしモルモット あなたの不幸をエサにして 今日を生きている 喉につまって鼻歌 風の中で...
くるまやさんのおにいさん おなじ町内にすむ 道端でくるまをうってる だから くるまやさんのおにいさん しごとがおわると 八百屋さんでアーティチョークかって くるま形のおうちに帰り きょうもくるまの夢をみる 休みの日はなにしてるかな プラスチック溶かして 泥で固めて...
海の匂い よく晴れた朝 ガラスの破片を手にとって べっこう飴みたいだと 口の中に入れた ひらり スカートめくれ はらり 指の皮も あぁ ぜんぶ 抱いて きみは 踊る 踊る 目をつむりたいな 耳も塞ぎたいな 口は生暖かい ねぇ 仰向けにして べた塗りみたいな空...
ほら魚の子どもたちが 桜の木の根っこに なにか埋めている みりゃ自分らの骨や背びれに 一生けんめいに土をかけている わたしのからだは わたしのもので そんな当たり前のことなのに 昨夜きみがぽつりと言った 「もう、どこにでも行っちまえ」と ゆううつが消えてしまうんだ...
昔々、神様のたねぶくろから 一羽の鳥が生まれました 鳥はくちばしのくいちがった いすかでした いすか それは鳥の名前さ いすか きみはきっと知らないさ いすか 遥か遠い国から いすか 言葉も知らない いすか おかしなくちばしさ いすか オリーブの瞳 いすか 行き交う人波に...
すっぱい匂いのするやつだ 路地裏に転がされ皮が剥けた あぁ こんなはずじゃなかった、と うな垂れていたら 優しい歌が聞こえたよ ああ、きみの声さ ズル剥けながらきみは歌うけど あっという間に日が暮れて 人間たちは家路を急ぐ 寂しい寂しい 月明かりよ どうか最後に...
右耳に聞こえてる ぼくの声が バランスをとってる 左の耳で 地球の裏側で泣いてる きみの声も 体をめぐるよ すごいスピードだ きみは地球を裏返した ぼくはひどいめまいがする 目も耳も鼻も口もない いっぱいの顔がみえる ・・・昨夜の電話のせいかしら?...
神様おしえて 昨夜みたんだ ちょっとやばい奴を 神様おしえて そいつが吐いた ツバの意味を 神様おしえて どうして そんなやつが幸せなの? 神様おしえて こんなわたしの なにがおかしい? 優しいひとを平気で殴り 血まみれの手で子どもを抱いた わたしは今日も...
際限なく続いてく 日々の中で 僕は変わらず 傷を掘って 穴に逃げ込んで 布団を被る 今日は満月の夜 昔旅したカノープスという星 一番輝く星のつぎに光る 何だかあなたを思い出すなぁ なぜだかあなたのことを 思い出すんだ 出てゆかなきゃ こっそり さよなら...
またひとつ ぼくのなか ぐにゃぐにゃした どんよりした気持ち そうだ、さっきね きみとぼく 散歩をしていた 透きとおる風のなか すれ違うひとが あわれむようにね きみをみていた バスにのったら 迷惑そうな目で きみをみていた 特別だなんて思ったこと 一度もない きみは毎日...
朝の5時半におきて 小窓をあけて一服 黒い小虫が サッシに挟まって 指でつまんで弾いたら ソの♭の音にきこえた そしたら急に メロディが浮かんで 耳を塞いだ 頭の中をエレキがはしる 黒い小虫は羽音をたてて 不協和音をかなでて遊ぶ 部屋をとびだした 聞こえない...
きみの小さい耳たぶが ある日突然グロテスクにみえた 身体中に虫が這ったようだ ぼくは ぞっとした そんなふたりが 寄り添って 甘いお菓子を食べている そうよ ここはパラダイス きみとぼくのパラダイス きみのまぁるいタマシイが ある日突然ごみくずにみえた あぁあ...
曖昧だった 人の顔、話し方、笑い方 思い出せることは 白いシャツ、花模様のスカート 頼りない言葉 耳元で震えたの、正しく 忘れられないから、と 歌にしてきたの いまさら あの頃のようには飛べない せめて淡水でクロールしても ちっとも前に進めない 水の抵抗で...
大人になったら 悪気もないのに 笑って、笑って 笑って、笑って 笑って、笑って 笑って、笑っている いつかは私を飲み込む 軽快なタップ、ホップ、ステップ、ジャンプ 待って、待って、話をきいて 誘惑ばかりのダンスホール ご機嫌なきみは品定めしてる 軽快なステップで...
夜中のきらきら 瞼の裏でひかった ゆらゆら漂った ただ、会いたくて 夜中のぎらぎら 脂ぎったネオンサインと ゆらゆら漂った あやしいひかり ふいにあいつ こっちを振り向いた ぎょっとしたよ だってさ 首をかしげた私 おかしいなぁ にせものめ もう会えない...
なにかに 縋ったり祈ってる日々 煙草の灰ばっかりふえた 泣いたり 歌ったり 踊ってるきみ 夢の中では極楽 昨夜はちょっぴり 酔っ払っちゃって 会いたいひと 思い焦がれた 駅まで戻ったり 曲がったりして たどり着けない千鳥足 見ないでください お願いだよ あぁ、きみが...
開け放した窓から 透き通る風かんじ 瞳とじて深呼吸 おはよ 起き抜けのコーヒーと テーブルの置手紙 冷めた文面に 行ってらっしゃい にこにこ笑って いろいろたまって 日常は歪んで とびっきりの笑顔で きみの心は血まみれ ペーパー越しのさよなら なのに、妙にしっくりきている...