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ぐっど

またひとつ

ぼくのなか

ぐにゃぐにゃした

どんよりした気持ち


そうだ、さっきね

きみとぼく

散歩をしていた

透きとおる風のなか


すれ違うひとが

あわれむようにね

きみをみていた


バスにのったら

迷惑そうな目で

きみをみていた


特別だなんて思ったこと

一度もない

きみは毎日

おどろくくらいに

ふつうだった

あきれるくらいに単純で


嬉しかったら

大声で笑うよね

おいしいと思えば

気持ちをつたえて


いつのときも

きみがねむるときも

いつも、となりにぼくがいた


小さなランプで

そっと照らすように

きみのすすむ道

同じ歩幅では

むずかしいと知った

ちがう個体なんだ


同情も

あの、かわいた笑い声も

親切もうわさ話でも

すべてに感謝でもするべきか

投げつけるべきか

わからなかった


特別だなんて思ったこと

一度もない

きみは毎日

その足元にぼくをつれて

目を閉じて

堂々と歩いてる


同情も

あの、かわいた笑い声も

親切もうわさ話でも

すべてに感謝でもするべきか

投げつけるべきか

わからなかった


きみは笑って

ぼくにいう

今が幸せなら

それもいいじゃない

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