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腐ったみかん

すっぱい匂いのするやつだ

路地裏に転がされ皮が剥けた


あぁ

こんなはずじゃなかった、と

うな垂れていたら


優しい歌が聞こえたよ

ああ、きみの声さ

ズル剥けながらきみは歌うけど


あっという間に日が暮れて

人間たちは家路を急ぐ


寂しい寂しい

月明かりよ

どうか最後に


スポットライトをあてて

優しいきみを、もっと見せて

ズル剥けなからきみは歌うけど


きみが垂れ流した歌は

清掃業者がモップで拭いた

胸に残る言葉と

あのメロディも

忘れてしまうの

ぼくは、また目をとじて

夜に染まった


すえた匂いさ

ここらいったい

鼻がもげるよ


あぁ

こんなはずじゃなかった、と

うな垂れていたら


腐りかけた、みかんをみっけた

変わり果てたきみだった


きみは虚ろな目で

どこか遠くをみてる


命があふれて止まらない。

吹き出してはタラタラと流れるわ


きみが垂れ流した歌は

清掃業者が・・・


路地裏に転がって

夢をみてる

鳥も啄まぬ肉よ


胸に残る言葉と

あのメロディも

忘れてしまうの?


ぼくはまた目をとじて

夜に染まった


「すっぱい匂いのするやつだ」

路地裏に転がされ皮が剥けた

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